“また夏まで生きようか”
2021年8月6日に発売されたPEDROの楽曲『夏』の印象深いワンフレーズだ。
でも、来年の夏にはもう会えない。
PEDROは12月22日の横浜アリーナ公演「さすらひ」をもって、無期限活動休止になるのだ。
なんてことだ。また夏まで生きていてほしかった。
今回は僕に”推し”という概念を教えてくれたPEDROとアユニ・Dに感謝とさよならを言うために勝手気ままに僕の気持ちを書きたいと思う。
1.僕とPEDROの出会い

2020年4月1日。僕とPEDROの出会いは春めいた陽気に包まれた暖かい日だった。
日々、仕事に追われ疲弊していたころ、突如YouTubeのおすすめに現れた『自律神経出張中』という曲。
歌っているのはなんかカッコいい声の男性。
だけど、なんかPVがおかしい。
アインシュタインの稲田さんがめちゃくちゃふざけてる。
なんなんこれ。
そう。僕とPEDROとの出会い方は少し特殊で、PEDROのエイプリルフールネタがきっかけ。
そういう意味では稲田さんに感謝。
やたらと耳に残る曲で、なんかかっこよかった。
調べてみると、実はエイプリルフールのネタで実際はBiSHというアイドルののアユニ・Dのソロプロジェクトだと知った。実は僕のBiSHとの出会いもここからだけどそれはまた別の話。
曲を聴き漁った。
ファンクラブにも入会した。
人生ではじめてのファンクラブ。
これからグッズも買い漁って、ライブにもいきまくるぞーと意気込んでた。
2.コロナとライブ

僕は地方に住んでいる。だからライブハウスなんてものは遠出しないと行くことができない。
2020年5月。世間はコロナウイルスが猛威を奮っていた。
それでも奇跡が起きることを信じて、「GO TO BED TOUR」に参加しよう!と思っていた矢先…
「GO TO BED TOUR」全公演キャンセルのお知らせ。
崩れ落ちた。
運営サイドも苦渋の決断だっただろうし、
のちにドキュメンタリーで観た全公演キャンセルを聴いたアユニの表情がすべてを物語っていた。
コロナを憎んだし、「絶対にいつか会いに行く」という気持ちが強くなった。
そして、待ちに待った9月の「LIFE IS HARD TOUR」。
でも、このライブにも僕はいけなかった。
息子が8月に生まれ、コロナの状況も落ち着いていない状況でライブに参加するという選択を僕は取れなかった。
そして、発表された日本武道館公演「生活と記憶」
本当に嬉しかった。乾杯!ってみんなでやってやろう!って思った。
このライブだけは絶対に行くと心に誓った。
チケットも取ったし、ホテルも予約をした。
でも、コロナが再び猛威を奮いだした。そして、泣く泣くキャンセルをした。
ここまで応援してきたPEDROの晴れ舞台をこの目で見たかった。
結局僕はPEDROのライブに一度も参加することができなかったのだ。
それでも、寂しい街の寂しい僕にはPEDROの音楽はいつも寄り添ってくれた。
僕の救いだった。
3.僕を救ってくれたPEDROの音楽

2021年6月、僕は仕事で体調を崩し、休職することになった。
大好きだった音楽もあまり聴けなくなった。
休むことに専念して、少しずつ回復してきた夏。
うだるような暑さの中、
僕は平日の昼間っから家にいて
「なんでこんなことしてるんだろう」なんて思いつつも、
日本武道館公演のLive-Blu-ray「生活と記憶」を観た。
そして、またPEDROの音楽に救われた。
新曲として収録された「夏」。
「退屈な世界と見下していたけど、
ここには面白いものがたくさん詰まっている
死ぬほど泣いたり、死ぬほど叫んだりが
それすらも愛おしく思えてきたのです」
「また夏まで生きようか」
「夏」の歌詞より一部抜粋
涙が流れた。どんなに苦しい毎日でも、また夏まで生きてみよう。
そう思って、生きる希望ができた。
4.突然のSAYONARA
仕事で体調を崩して休職になって、どん底にいた僕はPEDROの「生活と記憶」のライブや「夏」に救われて「また夏まで生きようか」と、思っていたんだけれど。
2021年、9月7日。
目を疑うようなお知らせが届いた。
「無期限活動休止のおしらせ」
言葉は出なかった。
あまりにも突然お別れが来ると、頭の中はパニックで思考停止。
なんにも感じることができなくなるんだと知った。
そして、じわじわとやってきた気持ち
「ライブに行きたかった」
アユニの声・田淵さんの超絶かっこよいギターリフ・毛利君の奏でるリズム。すべてを全身で感じたかった。
でも、もう会うことはできない。
「なんで休止なんだ」という、怒りに似たくやしさみたいな感情と今まで何度も救ってくれたことに対する感謝の気持ちでぐちゃぐちゃになった。
5.「後日改めて伺います」

11月17日、活動休止前のアルバム「後日改めて伺います」が発売された。
怒りのような悔しさとこれまでの感謝でぐっちゃぐちゃな気持ちのまんま、僕はこのアルバムの曲を聴いた。
このアルバムは全曲アユニの作詞・作曲。
いつだったかのドキュメントでプロデューサーの渡辺さんがアユニに言っていた
「ファンはもっとアユニが紡ぐ言葉が聞きてーんだよ。」
って言葉を思い出した。
そう。僕はPEDROの音楽も好きだけど「アユニが紡ぐ言葉」がはかなくてでもあったかくて好きなのだ。
そして、最後のアルバムは、全部アユニの紡ぐ言葉だった。
アユニからの手紙のようなアルバムだった。
聴きながら幾度となく涙が流れた。
“しょーもない水”じゃなくて、”あたたかい涙”だった。
これまでぐちゃぐちゃだった感情がまるごと愛おしいものなのかもしれないって思った。
ぜんぶきっとうまくいくそう祈って、吸って、吐いて 生存していこうと思えた。
最後の最後で僕の心にいつも寄り添い続けてくれるような”最高のアルバム”を出してくれたことに
感謝の気持ちでいっぱいだった。
6.はなむけ

僕の人生はじめての推し”アユニ・D”様
僕は結局一度もライブに足を運ぶことができませんでした。
それでも、僕はPEDROの音楽、そして、あなたの紡ぐ言葉に幾度となく救われました。
ライブハウスもないもないさびしい街のさびしい僕にもあなたの音楽、言葉は刻み込まれました。
こんなくそみたいな人生でもまるごと愛していいのかもって思えるようになりました。
本当にありがとう。
絶対に活動再開を信じています。
そして、その時は絶対にライブに伺いますので
どうぞその時まで
大丈夫で生存していきましょう。
乾杯!!!!!!!